翌朝、最近静かだった村人達が再びやって来た。
ドンドンとうるさく戸が叩かれる。
「白良は中にいて下さい~!俺達が出やすから!」
千尾丸の「俺達が出る」発言に白露は殺る気満々で立ち上がった。
しかし二人の気遣いを白良は良しとしなかった。
「気持ちは嬉しいけど、私が行きます」
そう言ってから戸に手をかける。
「二人は隠れていて下さいね」
そして彼女は戸を開けた。
開けた瞬間、何かが飛んできた。
「痛っ!」
当たった小石が地面に転がる。
「親父は見つかったのかい!?」
「いえ…まだ帰ってきません…」
泣きそうになりながらも、気力で言葉を紡ぎだす。
「そうかい。もう待てないよ!今すぐこの村から出ていきな!!」
そして、小石の雨が降った。
白良は両手で顔を覆いながら、この嵐に堪える。
「白良!」
見ていられずに飛び出そうとする白露。
しかし千尾丸に止められた。
「放せ、狐!!」
「旦那!駄目です!!今行ったら白良が怒りやす!」
「どういう意味だ!?」