その時、戸が控えめに叩かれた。
三人は一斉に玄関に目を向ける。
「村人達ですかね~?」
それにしては叩き方が優しい。
千尾丸が首を傾げていると、白良が勢いよく立ち上がり玄関に駆けていった。
「出るのか?」
白露が顔をしかめた。
「大丈夫ですよ。きっと、あの二人だから…」
白良には相手が誰かわかっているようだ。
上がらせるのか不明なので、とりあえず角を隠すため被衣を被る白露。
それを確認してから白良は戸を開けた。
「おはよう、白良。お邪魔していいかな?」
「…おはよ」
客人は二人。
「おはよう、和矢(カズヤ)くん。宗二(ソウジ)くん。今日はどうしたの?」
「遊びに来ちゃいけない?」
和矢と呼ばれた青年が柔らかく言った。
「ううん。来てくれて嬉しい。どうぞ、入って」
彼女は二人を招き入れ、白露達の前に座らせた。
「白露さん、千尾丸さん。この二人は私の幼なじみ、和矢くんと宗二くんです。兄弟なんですよ」
明るい表情で説明する白良。
「どうも~!俺は千尾丸。こっちは白露の旦那です。俺達は旅の途中なんですよ~」