「村人達が来たら、白良じゃなくて旦那と俺が出るんですよ~。それで村人達に“白良は昨夜、家を出た。俺達は昨日、白良から家を譲ってもらった”って嘘つくんです」

「それで?我は七日しかいないのだぞ?その後、ずっと嘘をつき続けることは不可能だ。いずれ隠し事は明るみに出るだろう」

白露に欠点をズバリ言われ、千尾丸は少し心がくじけそうになった。

「じゃあ、もう現実的に可能なのは愛の逃避行しか残ってやせんぜ~」

三つ目の案を推奨され白露は、何を思ったのかじっくりと白良を見つめた。


肩よりも長い黒髪。

二重のくりくりとした瞳。

控えめな唇に、滑らかそうな白い肌。

背は小さいが、ちゃんと胸は発育している様子。

村娘の割には、悪くない容姿に身体。


「…まあ、欲情はできるな」


独り言だったが周りはしっかり聞き取った。

白良は困り顔を赤くさせて俯き、千尾丸は「や~れやれ」と溜息をつく。

「旦那の趣味なんてだ~れも聞いてやせんよ~」

白露は千尾丸の頬を引っ張ることで無言の怒りを表した。

相棒(自称)の余計な一言はいらないらしい。