翌日の朝、千尾丸は昨晩に出た案をまとめ、嬉々として発表した。

「え~、候補は三つありやす!一つ、旦那が村の奴らを黙らせる。二つ、白良は逃げたと村人達に嘘をついて旦那と俺がここに住む。三つ、旦那と白良で地獄へ愛の逃避行!」

「三つ目はありえぬ。外せ」

白露の冷ややかな眼差しにもめげず、千尾丸は続けた。

「一つ目の旦那が村人を黙らせる案。良くて暴力沙汰、最悪では死人続出って結末が簡単に想像できやすが、いかがです~?」

明日の天気でも聞くような軽い調子で「いかがです~?」と尋ねられ、返答に戸惑う白良。


「暴力は…嫌です。できれば穏便に…」

「んじゃ~、二つ目の村人に嘘をつく案はどうですか~?」

「その案は意味が不明なのだが…。我がここに住むとはどういうことだ?」

千尾丸は「もう~、旦那ったら~。ちゃんと聞いてて下さいよ~」などと言いつつ、嬉しそうに咳ばらいをした。