「妻の死に堪えられず悪行を犯す夫か…。そなたの父は確実に地獄行きだな」

「お母さんは、ちゃんと天国にいるのかな…?」

「さあな。天のことはわからぬ」

母親を思い出しているのだろうか。

白良の表情がほんの少しだけ穏やかになったのを白露は見逃さなかった。


「う~ん…う~ん…う~、あっ!思いつきやした!!」

「何だ千尾丸。やかましい」

うっとうしそうに睨みつけるも、千尾丸に効果はない。

なんせ彼は白露のことを相棒と信じているから。

白露が本気で息の根をとめてやろうかと思っていても、全く伝わっていないのが千尾丸なのだ。

でなければ冷酷な鬼の隣で相棒はやっていられない。

「白良を守る方法ですよ旦那!」

この一言にいち早く反応したのは本人だった。

「私を…守る…?」

千尾丸は自信ありげに胸を張った。

「はい!もし明日、村の奴らが来たらこの作戦でいきやしょう!」



その後、彼らは千尾丸の考えた計画に対し、あーでもない、こうでもないと意見しつつ、夜通し村人対策を考えたのであった。