「美晴ちゃん、どうしたの?暗い顔をして。また課長見てるのね。あの感じだと課長は美晴ちゃんに興味あると思うんだけど」




課長に見えないようにこっそり耳打ちをしてくる唯野さん。興味は持ってくれていると思う。




でも、それは大事な部下ということと冴子さんが望む結婚相手だからというだけ。課長は私のことを恋愛対象としては見てくれてはいない。




「そんな切なそうに見つめるなんて美晴ちゃんは本当課長のことが好きなのね」



「た、唯野さん!!」



改めて言われて動揺してデスクの上の書類を落としてしまう。恥ずかしい。課長にも見られたかな。



落とした書類を拾うとバッチリ課長と視線が重なった。



唇がパクパクと開いていてそれを確認しようと目を凝らすと『バーカ』って。


あっ、この間の仕返しだな。私も軽く口をイーっと返すと課長がクスクス笑っていた。