「愛してたよ。今でもそれは変わらない。でもな、そばにいたい、支えて守ってあげたい人ができたんだよ」

お父さんの言葉に、ショックを受けた。まるで私が振られたような気がしてしまう。それくらいお父さんから聞かされた再婚話は私の中で、納得できない。


やっぱり、お父さんの隣は、お母さん以外あり得ない。






「あんたねぇ、いい加減もう二十四なんだから、父離れしなさいよ」




「『ちちばなれ』なんて言わないで。なんか赤ちゃんみたいじゃない」



結局、あの後、お父さんには「そっか」としか言えなかった。何をどう言っていいのかもわからなかったから。


朝も顔を合わせていない。昨日の残りのトンカツでカツ丼弁当を二つ作り、一つは声もかけず置いてきた。きっと、お父さんは気付くはず。

朝の仕事も最悪だった。そして、今ようやく迎えたお昼休み。カツ丼にかぶりつきながら、私は昨日のお父さんの話を、リフレッシュルームで同期の桜井琴美(さくらいことみ)に愚痴っていた。