「・・・それにしても、驚いたな。佐伯そういう格好すごく似合ってるな」

上から降ってくる甘い言葉にちらっと視線を課長に向けると目が合った。また優しく微笑んでくれている。

どうして私、今までこの人と距離を置いていたんだろう。それすらもったいないと思ってしまう。鬼上司だとしか思っていなかったことも不思議にしか思えないくらい別人の課長。

「あ、ありがとうございます。で、でもちょっと幼いですよね。普段はこういう格好が好きでよくしてるんですけど・・」

「そんなことない。俺は、好きだな」


視線を泳がせながら答えるとそれ以上の破壊力の言葉が降ってきて、当然私は、パニくってしまう。助け舟を出してほしいのに前の二人は自分たちのおしゃべりに夢中。

「それにしても、今日は佐伯に驚かされることばかりだな。そんな可愛い格好に照れた表情。すごくドキドキするよ」

「もう!そんなことばかり言わないでください。ドキドキするのは、私のほうですよ」

そう言うと少しかがんで、私の表情を見ようとする課長。顔を逸らすとクスクスと笑っている。

「ドキドキしてくれるんだ。少しは前進したと思っていいのかな、俺」

そんな嬉しそうな顔を見せるなんて本当にズルイ。また、好きな気持ちが増えてしまった。