おかしい。さっきまで、全否定していたはずなのに課長の優しい言葉に泣きそうになる。私を見てくれていただけじゃなくて、そこまで私のことを考えてくれていたなんて。

「本当に、私でいいんですか?出来損ないのダメダメな部下ですよ」

「ダメなやつほど、かわいいとも言うだろ?」

「ど、どっちが本当の課長なんですか?もう調子狂うからいつものように、怒鳴ってください」

「さあ、どっちだろう?でも、今は怒鳴るよりもとことん甘やかしてやりたいけどな。どう?お前も俺が知りたくなった?」


優しい笑みは、少しだけ意地悪そうな笑みに変わる。鬼上司だった人が、今はもうドキっとする対象の人になるなんて・・・。でも、もうこれは認めるしかない。


「・・・課長、私ももっと課長のことが知りたいです」





今日一番優しい笑みを浮かべた課長に胸がキュンとして、お願いしますと私も笑みを浮かべた。