「・・・お父さん。私ね、お父さんとお母さんの子どもに生まれてこれて本当に良かったよ」



「ありがとう。お父さんも美晴のお父さんで良かった」



きつくギュッと抱きしめられてそっと離された手。お父さんに抱きしめられるのはこれが最後になるかもしれない。


これからお父さんが一生抱きしめていく人は冴子さん。そして、私を抱きしめてくれる人は悠貴さん。



「ほらっ、悠貴。徹に言わなきゃいけないことがあるでしょ?」



冴子さんにバシッと背中を叩かれた悠貴さん。お父さんに向かい合い、姿勢を正し、正座をする。隣では冴子さんが悠貴さんの背中に手を当てたまま。お父さんも姿勢を正して正座をするからあたしも隣で同じようにした。



「・・・お義父さん、美晴さんを僕にください」



「・・・はい。大事な大事な娘なので幸せにしてあげてください」