「やっぱりどうしても納得できないの。悠貴は美晴ちゃんに流されてるだけじゃない?だって義兄妹でも結婚できるんだし、二人が焦って結婚して、後々に離婚なんて嫌だもの。ねぇ、悠貴。あなたは私のこと大事だと思っているでしょ?なら私の幸せを一番に考えてくれるでしょ?そんな焦った結婚なんて間違ってる。義兄妹になりなさい」


お父さんが止めるのも振り切って言葉を続ける冴子さん。まさかこんな風に冴子さんが言い出すなんて思わなかった。お父さんのようにすぐに認めてくれると思ってたのに。


こんな風に言われたら悠貴さんはきっと冴子さんを・・・。


「・・・今まで俺、ずっとあなたが大事でした。大変だったと思う、女一人で俺を育てること。俺がぶれずにここまで来れたのはあなたが厳しく俺を育ててくれたからです。本当に感謝しています。だからあなたの幸せが一番だと思っていました。あなたの望むことなら叶えてあげたいってずっと思ってきた。でも、あなたよりも優先にしたい人が出来ました。一生大切にしたい。ずっと一緒にいたい。だから俺は、あなたよりも美晴を選びたい。親不孝で勝手な息子でごめんなさい、母さん」



悠貴さんの冴子さんを思う気持ちが伝わってきた。それでも義兄妹になれという冴子さんではなく、夫婦になりたいと私を選んでくれた悠貴さん。涙が止まらない。


沈黙が流れる。そしてパッと立ち上がった冴子さんは悠貴さんの隣に座りギュッと彼を抱きしめた。