「聞いてほしいこと?」

「そう。聞いてほしいの。本当ならお父さんの検査の結果が出てからのほうがいいのは、わかってる。だけど、出来るなら近々、時間を取ってくれないかな?冴子さんと二人で」

お父さんの結果がいつ、出るのかはわからない。本当ならそれを待つべきなんだろうし、再婚だってさっさとさせてあげればいい。だって、どうせ義兄妹は結婚できるんだから。

それをあえて自分たちが先に結婚したいなんて、わがままだし、本当に勝手なお願いだとわかってる。でも、課長が言ってくれた言葉が本当に嬉しかった。だから、義兄妹でも結婚できるけれども、妹になる前に妻になりたい。

「わかったよ。今日の夜にでも時間を作るから美晴と悠貴くんも時間を作ってほしい。それと、検査の結果もちゃんと二人に伝えるよ。ちょうど今日、結果が出るからさ」

「そうなの?わかった。課長、じゃなかった悠貴さんに伝えておくね」

お父さんの結果が出る。さっきまでの気持ちが一瞬で変わった。そうだ、もしお父さんの結果が悪かったらそのときは、義兄妹になればいい。どうせ、そのあと結婚は出来るんだ。

「美晴、一つだけ言ってもいいかな?」

お父さんの言葉は、そんな風にコロコロと決意を変える私をお見通しかのようなそんな言葉だった。

「一度決めたことは最後まで貫き通しなさい」