「結婚、してください」

視線がぶつかり、二人の言葉が重なった。私たちは、義兄妹になんてならない。夫婦になる。


気持ちが重なったのだから、当然、そのまま唇も重ねた。大人なのに、キス一つでドキドキする。


でも、もっと、もっと悠貴さんに触れたい。もっと近づきたい。悠貴さんの抱きしめてくれている手に自分の手を重ねる。こんなんじゃ全然足りない。


「悠貴さん、悠貴さんが足りないです」


「えっ?み、美晴?」


「足りない、足りない。なんだろう?こうやってギュッと抱きしめてもらえてるのに満たされない。もっと悠貴さんが欲しいです」


「・・・美晴、それさ誘惑してんの?」


「えっ?私ってば何、言ってるんだろう」


俯く私の顎を掬い上げると、熱を帯びた悠貴さんの瞳があたしを射るように見つめていた。


「その誘惑に今日は乗ってもいい?」


私たちは、そのまま、初めて二人で朝を迎えた。少しだけ冴子さんが帰ってこないだろうかと不安になったけれど、そこはお互い大人なので空気を読んで、それぞれ、お互いの思い人と甘い時間を過ごした。