「救世主だなんて。私こそ勘違いをしていてすみません」

「勘違い?ああ、俺が原因だと思っていたってこと?」

「すみません」

私のいる経理課は、緒方さんという人をのぞいて、ほとんどがパートのおばちゃん。私は、大奥みたいに、女の修羅場よりは、楽しくやってるけれど、姥捨山なんて失礼なことを言ってるのを聞いたことがある。

「まあ、そう思ってたら余計に、俺のことは苦手だよな。でも、本当、今、お前に辞められたら困る。だからほどほどにしなきゃな」

手を伸ばされ、「よくやってくれてるよ」と頭をポンポンと撫でられた。こんなことまでするのかと本当に今日の課長には驚かされる。本当に、この人は私の知ってる鬼上司なんだろうか?

「お、大袈裟ですよ。ほらっ皆さん私のことを娘みたいに思ってくれているから、私も甘えてるだけです」


「それが助かってるんだよ。お前が来て経理課は明るくなったし、活気も出てきた」



「し、仕事はまるでダメですけどね。入社二年目だっていうのに。それに二十四なのに全然大人じゃないですし」