「うそ、だって課長は私のことなんて・・・」




「大事って言われたことない？彼にとって『好き』よりもずっと優先的な存在よ。『好き』よりもずっと愛情の言葉。あなたなら悠貴と幸せになってほしい」




綺麗な笑みを浮かべた静佳さんはカバンをゴソゴソと漁り、左手の薬指にはキラキラと輝くダイアモンドの指輪を嵌めた。あなたの気持ちが知りたくて外してたのと言う彼女。


でも、課長が私のことを好き？


確かに大事とは言われたけど。
本当に？本当に？




「悠貴もきっと怖いんだと思う。私も人を好きになることが怖かった。また幸せの絶頂で壊されるのかと思うと怖くてたまらなかった。

でも彼が包み込んでくれた。だから美晴さんが悠貴を包み込んであげて。彼の不安や傷を癒してあげてほしいの」



「本当に？本当にあたしでいいんですか？」



「私に啖呵切ったのに怖気づかないで。あなたしかできないわよ。頑張って。結婚式には呼んでね。楽しみにしてるから」




こんな展開は全く予想外。静佳さんの気持ちを聞いて身を引くはずが静佳さんに背中を押されてしまった。課長があたしを好きだなんて信じられない。



夢みたい。静佳さんを家に送った後、あたしは今すぐ課長に会いたくなった。