「・・・静佳さんは納得したんですね。どうしてそんなことで諦められるの?あたしには無理。結婚したくて必死に足掻きます。分かってもらえないなら本家と縁を切ってでも結婚します。そして、どんなことがあっても離れたりなんてしない!!」




「ありがとう、美晴ちゃん。静佳ちゃんとはあれから私は会っていないの。でも、悠貴はちゃんと二人で話し合ってそして別れを決めたのよ。それから悠貴が少し自暴自棄になってなかなか家にも遅くにしか帰ってこなくなったけれど、あなたが入社してから悠貴は喜怒哀楽が戻ったみたいだった。口を開けばあなたの話ばかり。悠貴があんな風に元気を取り戻せたのは美晴ちゃんのおかげなの」




ありがとうねと優しく頭を撫でてくれる冴子さん。あたしは何もしていない。いつもあたしに与えてくれるのは課長。



優しさも強さも守ってくれるのも全部課長。あたしが課長に出来ることは何なんだろう?課長はきっとまだ静佳さんを思っている。




あたしと結婚すれば確実に冴子さんにも幸せな思いをさせてあげられる。子どもも見せてあげられる。もし、課長がその気持ちであたしと結婚するのなら・・・




どんなに好きでもあたしは結婚なんて出来ない。課長の幸せが冴子さんが幸せになることなら・・・課長と兄妹になることも選択肢の一つなんだ。