運ばれてきた、マルゲリータと魚介のパスタ。お皿に分けて話をしながら夢中で食べた。


課長やお父さんの話をしたり、冴子さんのパート先の話。あまり詳しく知らなかったけれど冴子さんは繁華街の書店で働いているらしい。


そこの常連客の楽しい話や近くにあるベーカリーのくるみパンが美味しいとかそんな他愛ない話をしながらあっという間に二人で楽しく食事を終えてしまった。


そして、食後のコーヒーが運ばれてくると冴子さんは表情を変え、意を決したように口をゆっくりと開き始めた。



「・・・静佳ちゃんと悠貴の話なんだけれどね、美晴ちゃんには言いたくなかったんだけど・・・婚約者だったの」



言いづらそうに時折視線を泳がせながら話す冴子さん。婚約者・・・。元カノだということだけでもかなり響いたのに婚約者だという現実を突きつけられて目の前が真っ暗になりそうだった。



やっぱりその人と結婚できなかったから仕方なく課長はあたしとの結婚を決めたんだ。



「・・・どうして、結婚しなかったんですか？」



「・・・悠貴が片親だったから」