バカだな。自分から距離を作ったのに、逃げたのにこのクリームソーダ、課長はきっと好きだろうな。美味いってバニラアイスを頬張るんだろうな。


そんなことばかり考えてしまう。きっときっとね、あたし期待してたんだ。




課長はあたしのことを好きなんだって。



だから今まで知らなかった部分を見せてくれるようになったり、知ってほしいって言ってくれるんだって思ってた。


俺の彼女はお前とか、自分の好きなキャラに似てるとか期待させるようなこと言うし。


なのにあんなに優しく微笑んで電話で話してる姿をみた瞬間、一瞬でその期待が粉々に崩れ去った。



負けたくなくて必死で探した課長に似合うネクタイ。でも全然いいのがなくて手に取ったものを全部買ったんだ。



あの人は期待させるだけさせておいてあたしを真っ逆さまに一番上から叩き落とす。カランとコップの中の氷が揺れて呆れた眼差しで見つめる琴美と目が合った。