「・・・すいません。困らせるようなことばかり言ってしまって。そのネクタイもいらなければ捨ててください」



「なんでそんな極端なんだ。お前に貰ったものを捨てるわけないだろ」



「なんで、なんでそんな期待させるようなことを言うんですか？やめてください！！」



課長が言葉を発するだけで期待したり落とされたりする気がして両手で耳を塞ぐ。どうしてそんな傷ついたような表情をするの？期待したくない。



「・・・シズカさんにもらったネクタイありますもんね」



「・・・なんでそれ？もしかして冴子から聞いてるのか？シズカと俺が別れたこと」



「・・・まだシズカさんのことが好きですか？」



聞くだけ聞いてやっぱりいいですと答えも聞かずに家まで走り帰った。




冴子から聞いてるのか？別れたこと。


シズカさんは課長の元カノ。そして二人はなんらかの事情で別れた。だから課長はシズカさんと別れたけれどまだ好きで諦めるためにあたしと結婚する。



勝手な思い込みでそう決めつけたあたしは後日、冴子さんから課長の秘められた過去を聞かされることになる。