どうやって帰ってきたのかな。本当にあたし、課長の元から走り去るのが得意になってる。


ちゃんと話も聞かずに。



街灯が照らす中、課長に告白したあたし。それだけでは足りなくて課長の気持ちまで聞いてしまった。少しの沈黙の後、課長が口を開く。



「佐伯とは結婚したいと心から思ってる。お前は本当、可愛くて優しくて思いやりもある」



「それだけですか？それだけで課長はあたしと結婚してもいいと思ったんですか？あたしが聞きたいのはそんなことじゃない。課長があたしのことを・・・」



課長が苦悶の表情を浮かべてる。あたし、焦りすぎた。そうだよ、あたしだって最初は課長のこと好きでもなんでもなかった。


それなのに再婚を反対するために勢いで結婚宣言したんだ。それを課長が受けてくれて元々気持ちがあったわけじゃない。



それなのに、あたし自分が好きになったからって課長にも自分を好きでいてほしいなんて自分勝手にもほどがある。