「どういうつもりって、俺はお前に合わせただけだが」

「も、もしかして、課長も再婚には、反対で、それで私の嘘に乗ってくれたんですか?」

「そういうことか。おかしいと思った。あんなくだらない嘘を吐くなんて、頭がおかしくなったのかと」

頭がおかしい?私を小馬鹿にすると課長は、目の前の甘ったるいフラペチーノを口にする。毒舌だし、すぐ怒るくせに甘党とか似合わない。

「で、とりあえず、あの場は収まったけれど、その嘘を貫き通すのか?それとも、再婚を阻止するためについた嘘だと二人に謝るのかどうするつもりなんだ?」

「そんなの、謝るに決まってるじゃないですか!なんで、嘘を貫き通さなきゃいけないんです?そんなのお互い意味ないですよ!」

「そうか?俺は、冴子のあんな嬉しそうな顔を見られて嬉しかったから、そのまま貫き通したいけれどな」

「課長ってマザコンなんですか?」

「だったら、お前はファザコンか?父親の再婚を阻止したいからって、どう考えてもおかしい、嘘を吐くなんて。だいたい義理の兄妹っていうのは・・・まあ、いい」

言いかけた言葉を飲み込まれたのは、ムッとしたけれど、余計なことを言われたくないからあえて、聞き返すことはしなかった。