まあそんなことがあるわけなく、行列に並んだ瞬間離されてしまう。熱を帯びていた場所が急速に冷えていく。


あたしたちの前にはカップルは手を繋いで近い距離で話してる。いいな、幸せそうだな。本当に好きな人と付き合ったらこんなに幸せそうな笑顔になるんだ。



あたしもそうだったのかな?あの時に付き合ってたあいつのこと本当に好きだった。まああたしのトラウマの原因を作った最低なやつだけど。


トラウマ。もし課長と本当に結婚することになったらいつかは越えなくちゃいけないんだ。でも受けた言葉の傷っていうのは意外と深く根強い。



課長はそれを話したらどう言うかな?面倒くさく思うかな?


いや、それよりそんなことなんかよりあたしたちはどんな関係なんだろ?


課長はあたしと付き合ってくれてるって言ってくれたし、嫌われてはないと思う。でもなんだろう。


今一つ何かに欠けている。



「どうした?疲れたか?あんまり並ぶのは嫌い?」