ダイニングテーブルをバンっと叩き、立ち上がった。お行儀が悪いけれど今はそんなことも構っていられない。豊田さんも驚いているけれど気にしない。こんな大事なこと教えてくれないなんて。


私は豊田さんに嫉妬していた。豊田さんは課長の誕生日を知っててプレゼントまで用意してた。こんなこと思いたくないのに・・・悔しい。



「えっ?あっあらなんだか私、ごめんなさいね。あっ、せ、洗濯畳むの忘れてたわ。ちょっと畳んでくるわね」



気を利かせてかそそくさとその場を後にする豊田さん。気まずい雰囲気で残された私と課長。ストンと座り直すとなんだか瞳が潤んだ。


「課長の誕生日なんて知らなかった。知ってたらもっとちゃんと用意できたのに・・・」



「・・・誕生日は明日だから。ずっと一緒にいてくれたらそれでいいよ」



「そんなんじゃ私の気が収まりません!」



「ケーキ食べられるからいい」



「チケットがあるからタダじゃないですか!」



「じゃあさ・・・いい加減名前で呼んで!それが誕生日プレゼント。俺はそれが一番嬉しい」



埒があかない軽い言い争いを止めた課長の言葉。ずっと課長って呼ばれるのが嫌だって言ってた。

それでもなかなか名前では呼べなかった。課長は何も言わないから気にしてないと思ってたけどやっぱり嫌だったんだ。



「・・・分かりました!明日はスペシャル素敵な誕生日にしますからね!悠貴さん!!」



ピシャリと決めた決めゼリフ。少し照れたように笑う課長に私も優しく微笑み返した。