私は課長に近づけたと思ったけど、自分を知ってもらう努力を全然してない。森ガールということと料理をするということくらい。



知りたいと思う気持ちより今は知ってもらわなきゃいけないと思う気持ちが出てきた。週末の告白はともかく知ってもらう努力をしよう。



「佐伯美晴。五月三日生まれの牡牛座、血液型はA型、家族構成は父親が一人。趣味は・・・」


「ど、どうしたんだ?急に」



水曜日の会社帰り、今日は私のジャージを買いに行くから豊田さんの所には行かない。いつもの自転車じゃなく、電車で繁華街に向かう。


課長の着ているジャージと同じものはなかったものの可愛い紺色にピンクのラインが入ったジャージに一目惚れ。即決した。買い物があっさりと終わり、このまま帰るのもなんだか淋しい。


それに着いてきてもらったお礼もしたいと、私も勇気を出して課長を晩御飯に誘った。



「俺もそのつもりだった。何、食べる?」


笑顔で快諾されて胸が高鳴る。何にしようかなと二人で歩いているとなんだかデートでもしている気分になってスキップしたくなったりなんかして。


いや、ダメダメ。現状に甘んじていたら誰かに取られる。いい意味で琴美に喝を入れられた。