「ねぇ美晴。私の言いたいことわかる?」


「うん。要するに課長の気持ちをちゃんと聞けってことだよね?」


「それもそうだけどまずは美晴からでしょ。美晴が課長をどう思っているか伝えるのが先!ボヤボヤしてたら誰かに取られるよ、なんたってこないだの一件でうちの課の女子から結構評判上がってるんだからさ」



こそっと耳元で琴美が囁いた。誰かに取られる?みんな、課長のオフモードを知らない。でも、あの可愛らしい部分や少年のような姿を見たらもっとファンが出来るかもしれない。



ううん、知られたくない私しかしらない課長の姿。それを他の人が知るなんて絶対に嫌だ。

今までこんな独占欲なんて、自分の中にあるものだとは思ってもみなかった。彼氏はいたけれど、独占欲があったのかすらもらわからない短いお付き合い。

恋愛経験値はかなり乏しいけれど、今は本当に独占欲の塊だ。誰にもあの姿を知られたくない。見られたくない、取られたくない。