「萌って、メイク薄いのに可愛いよね。
小悪魔メイクの薄い感じにしてる?」


『うんっ。
そうしてるのっ』


美紗とあたしは、そんなメイクの話で盛り上がってた。

すると…一人の男の子が教室に入って来た途端、女の子達が騒ぎ始めた。


「…かっこいー!」

「翔くん、いいよねっ」

って…そんな歓声が。


「あー、翔だ」


『か、ける…?』


そう、美紗に尋ねながら彼の方を見た。

…ドクン。
そんな音が胸でして、あたしの手が震え始めた。

かなり下げたズボン。
ワックスでクシャっとセットされた茶色の髪。
整った、顔…。


似てるんだ。

あたしが好きだった…。
大好きだった、あいつにー…。


“お前みたいに暗い女、誰が彼女にするかよ!
セフレって、気付いてなかったのかよ?
ま、俺に遊んでもらえて良かったなー?”


急に蘇ったの。
二度と思い出したくなかった言葉が…。