美紗の言った言葉を聞いて、自然と眉間にしわが寄る。

想像するだけで、何だかムカつく。

無防備な、バカな女だ。


「あいつの家、どっち方面?」


“えっとー…。
確か浜方面だけど?
何、邪魔しちゃダメよ!”


「うるせぇよ!
あいつが危ねぇのっ。
美紗、サンキューな」


それだけ言って、電話を切った。

待てよ?
浜方面って…。

駅と正反対だ。


「くっそ…」


来た道を、また俺は走り始めた。

彼女、でもないのに?

襲われようが。
傷つけられようが。
俺には、関係ねぇはずなのに?

一人の女に、必死になった事なんかねぇのに?


「なんか、放っとけねぇんだよ…っ!」


かっこ悪くても、いい。
嫌われてても、構わねぇ。

お前が無事なら、何でもいいよ。

嫌いでもいいから…。
俺に、守らせて。