トイレを飛び出して、そのままカラオケボックスからも出る。

愛内の姿も、金髪の姿も…見当たらない。

カラオケボックスの前に、大和が座って煙草を吸っていた。


「あっれー?
翔、帰ったんじゃねぇの?」


「んな事より愛内見なかった!?」


俺の質問に、大和は首を傾げるだけだった。

早くしねぇと、あいつが危ねぇのに…。

一体、どこに居るんだよ!


「大和、サンキュ。
またなっ」


カラオケボックスを出て、とりあえず駅方向へ走ってみる。

でも、二人の姿はない。


「…あ!
電話っ!」


ズボンから携帯を出し、すぐに電話をかけた。

プルルル、と鳴り響く電子音。

早く、早く…。


“翔、どしたの?”


「あ、美紗!
愛内そこに居る!?」


“萌なら、男と帰ったよー。
腰に腕なんか回されちゃって?
ラブラブ!”