「…あ」


「…あ」


トイレへ向かおうとしていると、目の前には美紗と愛内が居た。

二人して、肩も脚も出してー…。


「翔、どしたの?
合コン?」


「あー、うん。
そっちは?」


愛内の前に立っている美紗に、俺は尋ねた。

愛内は、なぜか美紗に隠れている。

…何、そんなに俺が嫌いか?


「あたし達も!
萌なんか、もう彼氏候補出来ちゃってるしっ」


『み、美紗…っ』


恥ずかしそうに、美紗の後ろで赤面している。

相手の男が、無性に気になった。


「で、お前は何で美紗に隠れてんの?」


『…べ、別に?
どーだっていいでしょ』


怖いくらいに大きな、茶色の瞳でそう言った。

…なんか、ムカつく。


「二人、仲悪いの?」


『美紗、戻ろ?』


愛内が美紗の服の裾を引っ張る。

美紗は俺に手を振って、部屋へ向かって行った。