「翔ー、大和ー!
久しぶりだねっ」


「おう、久々っ」


カラオケボックスの個室に入った途端、女が叫んだ。

いちいちうるせぇ。
耳が、痛い。


「大和はあっち、翔はあたしの隣ね!」なんて。

胸が大きく開いた服を着ている女が、呼んだ。

見た目通り、こいつは軽い。


「ねーぇ、翔?
今日は、親居ないんだけど、来ない?」


「んー、別にいいけど?」


誘うのは、いつも女から。

俺から誘うとか、ありえない。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
これが、俺だ。


「くだらねー女」


聞こえないように呟きながら、ドカっと座った。
俺が言うのは悪いと思うけど。

簡単に、誰にでも抱かれる女は嫌いだ。


「翔、じゃあ後で抜けよーねっ!」


「んー」


パチンとウインクする女を横目で見て、大和を見た。

あいつも、きっとそういう話をしているんだろう。
俺と同じ奴だから。