ダダダっと階段を駆け上がり、すぐに家に入った。

鍵を閉めたのを確認して、ようやく安心した…。


『はぁー…っ。
よ、良かった…』


大きく息を吐き、玄関でペタンと座り込んだ。
カタカタと小刻みに震える体を抱きながら。

気持ち、悪かった。
あの人に優しく愛された事を、思い出してー…。


『うぇ…っ』


目を瞑ると、思い出したくない醜い過去が出てくる。

あの人がしてくれた、優しいキスも、抱擁も…。
全部、全部…嘘だったんだ。

あんな過去要らない。
消し去りたい…。


『誰か…。
あたしだけを愛してよー…。
本当のあたしを、見てよ…』


これが、本音だ。
目を瞑った途端、一粒の涙が零れた。

普段とは全く違う、これが本当のあたし。
幼い頃から、独りぼっちで…。
寂しがりや。