「山田君の声ってすごい良い声だね!」
成は目を輝かせていった。相当由乃のバンドに感動したようだった。

「ああ、ありがとう。」
彼は冷静を装って返事をした。

「あと、1番最初にやってた曲って誰かのカバーかな?すごい良い曲だね!」
彼女は次々と話しだす。

「あ、えっとそれ実はオリジナル曲で…。僕が作詞作曲なんだ。」
由乃は彼女から目線を逸らして照れながら答えた。

「ええ!そうなんだ!山田君て作曲とかもするんだね!すごい!」
彼女は興味津々だった。

由乃は褒められたことが嬉しかったので、次回のライブ日程を成に伝えた。

「ありがとう!また山田君のバンド聴きにいくね!じゃ!」

そう言って彼女は次の授業に向かった。
これが2人の1番最初の会話だった。


それから成は軽音部主催のライブによく顔をだすようになった。ライブが終わると、由乃とそのバンドメンバーに差し入れを渡したり、他のバンドとも仲良くなっていき、周りは成がSSのマネージャーだと勘違いしてしまう程だった。

由乃本人も、新曲ができては彼女にメールで知らせ、ライブで披露したあとは彼女が感想を話したりしていた。


こんなやりとりが結局高校を卒業するまで続いた。
由乃は自然と彼女に惹かれていった。