私が黙りを決め込んでいるのを見て彼は楽しそうに言った。

「名前で呼んで欲しかったの?」

「え?なんでわかるの?」

とっさに口走ってしまい、焦ってハッとなった。

そんな私を見て彼は笑いながら続ける。

「本当わかりやすい女だな。」

そう言って机に肘を乗っけながら小さい子を見るような目でこう言われた。


「葵。」


その瞬間心臓が止まるかと思った。