「え〜！森の中に入るの」
ひかりは少し怖かったのです。さっきまでは綺麗だった月も風も森の薄暗い雰囲気で不気味な感じになっていたのですから。

「猫ちゃーん。黒猫ちゃーん。」

ひかりは右手を口の横に付けて黒猫を呼びます。

「どうしよー、森の中に入って行っちゃったぁ」

最初は怖がっていたひかりでしたが、どうしてもあの黒猫が気になってしまい勇気をもって薄暗い森の中に入って行きました。

「あぁ〜、こわいょ〜」

「猫ちゃんどこぉ〜」

怖くて、道に迷いそうになったその時、ひかりは黒猫を遠くの薄明かりの中にいるのを見つけました。

「あっ!見つけた!!」

不安は一気にひかりの中からは消えました。

そして、走って薄明かりの方に行くと。黒猫はふっと姿を消してしまいました。

ひかりが薄明かりの中に出た時、目の前には月の光を湖の湖畔がゆらゆらと反射して、そこは、ひかりが見た事もない神秘的な世界が広がっていたのです。