「……ああ、そうだよ。佳乃ちゃんの言う通り。ずっと、次から次へと遊びで付き合ってばかりだ」

「……」

「でも、自分でもどうしてそんなことばかり繰り返すのか分からねーよ。最初はちゃんと、みんな好きなつもりだった。だけど付き合ってるうちに、何か違うなって思えてきて別れる。本当に最初は、ただその繰り返しだったんだ」


 ぽつりぽつり、と。
 有川くんは言葉を選びながら話しているみたいだった。

 言葉の端々からは、葛藤のようなものが伝わってくる。


「だけどまた別の子、次の子って繰り返すたびに、だんだん自分の気持ちが分からなくなるんだ。好きだって思ってても、それが本心なのか分からなくなるんだよ。……馬鹿だよな、自分のことが分からないなんて。寄ってくるみんなもさ、俺が本気で好きになれないことを分かってるんだろうな。気が付いたら、軽い気持ちで近付いてくるような女しか周りにいなかったし」

「……それって、辛くないの?」


 やっとのことで出たのは、そんな野暮な質問。

 遠い目をして恋愛話を語ってくれる有川くんの表情を見ればそんなこと一目瞭然だったのに、私は有川くんの本心を探るように尋ねていた。

 有川くんはそれに顔色一つ変えずに、地面を見つめたまま淡々と答える。


「さあ、どうだろ……。自分が本気で人を好きになれないかもって気付いてからは、半ば諦めてたっていうか開き直ってたしなあ。好きか分からなくても付き合えばそれなりに楽しいから、いつしか軽い付き合いばかりしてたし。辛いとか、考えたこともねーよ」


 そこまで言って、有川くんはふうっと息を吐いた。

 それから、眉を下げて私を見る。