「この部屋、使って」


ハルに通されたのはまるでお姫様の部屋だった。


「…いいの?」


「いいよ。何日でも?」


「ごめんね急に」


行く当てもないあたしを、ハルはあっさりと泊めてくれた。


「じゃ、おやすみ」



携帯を見ると、マナーにしていた間に何十件と着信があった。

ユウキだ。


「……ごめん」


パタン―


少しだけ、時間が欲しい。

自信もって、あなたの彼女だって言えるまで。

また、あのメゾンで一緒に暮らしたいから。


「それでも、好きだなぁ……」