「あたし…夕方に、貴族の貴って書くの…」


グイ―


久しぶりに抱きしめられた腕。

ユウキの香り。


「ごめ…んねっ…」


嫉妬なんて。

かっこ悪いよね。


「不安にさせて悪い」


優しく撫でてくれるユウキの大きな手。

なにを迷っていたんだろう。

どうして逃げ出したんだろう。


あたしはこの人だけが…



「大好き…だからっ…」



重なった唇に、涙が落ちた。