ただ、謙二の蹴りが入った腹を抱えて立っているだけ。






芯が強すぎるにしても、なんで何にも言い返さねぇんだよ…。





「おい、お前。なんで俺の明子に手出してんだよ」





低い声で問う謙二。






本題に入ったか。





「え…?そんなこと、してないけど」






「しらばっくれてんじゃねえよ!


昨日、明子に“好きな人が出来たから別れてほしい”って言われてんだよ!!


そしたらそのあと、お前告られたんだろ!?」






馬鹿だろ。





お前と付き合ってても何も誇れるようなもんがねーからフラれたんだろ?





…なんでもかんでも人のせいにしやがって。クズが。





「………ゴメン…」





「さいっしょからそう言ってればいーんだよ。やれ」