案の定ざわつく全校生徒。



おいおい、大丈夫か笹野…



『みんなが私に優しくするのは、金があるから?顔がいいから?親の権力が恐ろしくて?そんなことを思って、今まで生きてきたの。』



「大丈夫…笹野さん。言いたいこと伝えて…」


俺の隣でそう言う川瀬の目には涙がたまっていた。



『だから、正直言うと今回も誰かに怒ってほしかったのかもしれない。みんなが気を使って私を大切にするから…それならいっそ、傷つけてほしかった。』




どんどん涙が溢れてくる川瀬の肩を抱き寄せた。



珍しく大人しくしている川瀬。




なぁ、その涙はなんなんだよ?



『でも、だからって誰かを傷つけるのは違った。川瀬さんにはなんの罪もないのに…ごめんなさい。ほ、ほんとに…ごめんなさい…』



泣くのを必死にこらえている笹野を見て泣きじゃくる愛しい人。




こいつの泣き顔なんか、他のやつに見せてたまるか



「姫野…ぐるじい」



そんな言葉は俺には聞こえません。