「か、川瀬?」
俺が川瀬の肩に触れようとすると、
「姫野はちょっと黙ってて。」
振り払われた…
かなりショック…
『さっき、私はありのままの自分でいるって言ってたけど、そうじゃないよ。』
笹野に微笑む横顔を美しいと思った。
『私ね、冷たい人なんだって。人前で泣かないようにしてたらそう言われたの。私、人に弱いところ見せるの苦手で、いつも笑ってたらそう言われた。』
少し遠くを見た川瀬を、笹野がえ?ってゆう顔で見た。
『笑ってるから人は寄ってくるけど、"笑ってる川瀬このみが好き"な人には心開けないの。』
頷いた笹野の頭を川瀬は撫でて、
少し離れたところで橋田は目をこすっていた。
『でも、誰だってそうだと思うよ。笹野さんだけじゃない。私だけじゃない。誰だって、だよ。』
「誰…だって?」
『そう、誰だって。だからね、焦らなくていいの。自分だけが居場所がないなんて思わないで。もっと早く言ってくれればよかったのに。私が、笹野さんの居場所になるのに。ね?のんちゃん?』
急に話をふられた橋田は、赤い目をして頷いた。
「あたりまえ!強気な女、嫌いじゃないよ」
見た目に似合わずイケメンな橋田さん。
笹野はそんなふたりを見て、秀平に近づいた。