最悪彼氏×最悪彼女



「相沢くーん♥はい、お茶♥」

「あ、ありがと。」


「あ、これタオル!
 男子種目、頑張ってきてねっ♥」


「うん。頑張るわ。」



ハートマークをつけて話す女子たちに、淡々と応える陸。



急に不安になった。



女子たちがじゃない。




あれほど嫌がっていた女子たちに追いかけまわされること。

それを防ぐために私とうその付き合いをした。

けど、私と別れることによって、また、嫌がっていた女子たちに追いかけまわされることになる。




そんな嫌な事が待っているのに、私と別れたって言うことは


そんな女子たち以上に、私を嫌いになった。




ってことなのかな...?


「っ...。」


急に、涙が出てきそうになった。



分かってる。そんなこと考えたって無駄なことくらい。




私は、変わるんだから。



けどね、考えられずにはいられないよ。

せめて、陸。



陸から私に一言でも声をかけて。


そしたら私、安心できるの。


大丈夫だって。
嫌われてないんだって。








陸side




-少し前に戻って、体育祭前日-




...教室に、見覚えのある後姿。


俺が見間違えるはずない。



けど、なんで ...?




「...なんか、用?」



俺は、恐る恐る問いかけた。


よく考えたら、俺が藤谷の用事の相手か分からない。

なのに、今の言い方。

俺に用事があってきたみたいじゃん。





違ったら、はずかし...。


俺、こんなに自己中だったっけ...。



ゆっくりと、彼女は振り返る。



「陸...。」


少し、驚いているような顔。

俺、迷惑じゃないかな...。


急に心配になる。




「あ、いたいた!相沢君!
 会長が用事あるんだって!」


クラスの女子が、そう言った。

一瞬、安心した。



けど、何を話したらいいんかが、分からない。




こんなこと、今までに一回もなかった。


やばい,,,。



沈黙が続く。


どうしよう...。
なんか話すか...?

でも、藤谷の用事ってなんだ ...?



俺がうじうじ考えてる中


「あのさ、これ。ゼッケン。明日のリレー用。」




藤谷がそう言った。



「ああ。さんきゅ。」



俺は、ぶっきらぼうにそう答える。

素直じゃねえ奴...。




また、沈黙。

俺って、本当小さいやつだよな...。


「あの...さ。」


藤谷がそう切り出した。


「何?」


ああ。この俺どうにかならいかな...。


「明日、頑張ってね。」

「当たり前じゃん。」




心臓が破裂しそうだった。

まさか、『頑張って』なんて、聞けるなんて。











そのあとも、おれたちは少しずつ話した。


けど、俺も藤谷も、堅い...。

あのころに、戻りたい。



俺が、すべて壊してしまったのかな。




よし。



俺は決めた。



次は、壊れないように。

大切に。






体育祭が終わったら、


好きだ。と、伝えよう。




お互いが同じ気持ちなのに


なんで、伝わらないんだろう。


何ですれ違うんだろう。





私たちが、罪だからですか?


見捨てないで、お願い。





お願いです。


罪を償った後は





幸せはありますか_?