その、次の日だった。
私が、陸から別れを切り出されたのは。
「藤谷、やっぱり、別れよう。」
え。?
理解できないよ ?
なんで ?
嫌だよ。
何を思っても、陸には伝わらない。
。
「早...すぎない ?
わ、私だってさ、こっちのほうが、楽だし、。
男子からの追いかけもなくなったし...。
それに、ばらされちゃうと困るしッ!」
何ウソついてんだろう。
こんなの本当の気持ちじゃない。
別れたくないんだよ。
気付いてよ。
嘘だらけ
罪だらけ
な恋人でもいいよ。
「ばらさないから。安心して。
そうしたほうが、お前にとって良いだろ。」
よくないよ。
全然よくないよ。
けど、好きだなんて、言えないよ。
。
きっと、これであなたとの接点が無くなる。
それほど辛いことはないよ。
お願いだから。
神様。お願いします。
こんな最悪彼女に、もう一度だけチャンスを下さい_。
。
あの日から数日後、いまだに私は立ち直れない。
もちろん、あの事も、すぐ噂にして広まった。
毎日毎日
「陸の元彼女」扱い。
誰もそんなことは言わない。
けど、そんな目で私を見ないでよ。
そんなこと思ってるかどうかさえ分からない。
けど、私は自分自身で、『陸の元彼女』だと思っているんだ。
誰も責められない。
私自身がいちばんそう扱っているんだ。
そんなことわかってる。
...分からないよ。
。
...悩んでる暇は、なかったことに気づいた。
私の学校は、進学校だから、受験生が後期は勉強に集中できるように、体育祭は6月ごろにやる。
忙しい。
もちろんこっちにも目を向けないと。
というか、これは仕事。
やらないといけない。
こんな精神状態とか、周りには関係ない。
自己責任だし。
ベストを尽くさないと。
辛い。けど、今は生徒会に集中しなくちゃ。
そうしたら、忘れられるかな...。
。
体育祭1週間前
あ、リレーの練習やってる。
もちろん、陸もいる。
運動神経は、たぶん学校一だろう。
かっこいいな。
もう、あれ以来言葉も交わしていない。
最初はあんなに嫌だった日々が
いつの間にか、愛おしい。
あの態度も、すべて私だけが知ってるのに。
私だけなのに。
私...だけ...。
。
私は特別だと思ってた。
なのに、きっと今じゃ、一番陸から遠い人だろうな...。
陸、私後悔してるよ。
あの時、あんな口調で言わなければって。
誰だって、あんなこと言われたら、嫌だよね。
私、陸のおかげで、本当の恋を知れました。
気付けば、陸中毒。
もう、抜けだせないよ。
だからね、私
「変わりたい。」
_あなたの、『彼女』になれるように。
。
体育祭前日
私たち生徒は、すごい盛りあがりよう。
3年生なんか特に、最後の体育祭。
絶対負けるか-!
なんて騒いでる。
私だって負けたくない。
陸とは、同じ団だ。
また、歩き始めなきゃ。
リレーみたいに、速くなくていいから、
ゆっくりでも、確実に。
あなたに近づいて見せる。
。
「美帆っ!このゼッケン、6組に持って行って!
選抜リレー用だから...。」
「おっけー。分かった。」
クラスの子に、そう頼まれて、私は6組へと向かう。
選抜リレーって事は、選手の子に直接渡さないと...。
...誰だっけ...?
。