最悪彼氏×最悪彼女



えーと。

話しをまとめると、こういうこと...らしい。



疲労のせいで、私は倒れて、そのまま保健室行き。

陸は、部活の最中に、私のせいで呼ばれたらしい。

なにも、私のせいにしなくたって...。
てか、彼氏だからって、何で呼ぶのよ。



「ったく、お前のせいで練習できなかったやん。
 お前、せめて迷惑かけないようにしろよ。」



...そんなこと言わなくたっていいじゃん。


なによ。仮にも彼女なうちの心配してくれたっていいじゃん。




分かってる。
好きなのは私だけ。


でもね


辛いよ。



気がつけば、目がしらが熱くなってきた。


もちろん、私の目に溜まってきているものは、涙。
それが、流れ出ないように、気付かれないように。


「出てって。」


私は、静かにそう呟いた。


「出てってよ!
 陸が迷惑なように、私だって陸が迷惑なの!
 気分悪いから、もう出てって。」


つぎは、陸にむかって叫んだ。



もう、終わった。

陸だって軽蔑するだろうな。





「...分かったよ」


静かに陸はそう言って、
保健室から出て行った。




保健室のベットの上で、たった一人。


「うっ...ふぇっ...ん」


誰にも気づかれないよう

声を殺した泣いた。





陸、好きだよ。

私だけだってことも分かってる。

迷惑なんかじゃない。




けど、今は一人にさせて。
もう、陸も、私も、


分かんないよ。







あの後、私は一人で帰った。

陸は一度も見ていない。



今日、会えるかな。

会ったら、何話そう。



「ふっ...」

そんな事考えても、無駄だ。
きっと今顔を合わしたら、私は泣いてしまうだろう。




泣く意味さえもわからない。


けど、この思いも、すべて

[罪]から生まれたものだと考えると



自分に対して、無性に悲しくなってくるし、
苛立つ。



いろんな意味で、どうしよう。






~陸side~



「陸、ナイッシュー!」


今日は、なぜか調子がいい。
シュートが決まるのも、今日は断トツだ。


そういや、女子に『陸』何て呼ばれたの
初めてじゃね?



_なんて思ったりしてると



「陸っ!」


俺の小学生からのダチ、塚本俊(つかもとしゅん)が、血相を変えて走ってくる。


「どうした?」
「会長が、倒れたって聞いて...
 今、保健室にいるって...。」



あいつが?


「なんでっ...!?」


「分かんないけど...て、おいっ!」


俺は、部活なんて放り出して、保健室まで走って行った。


なんでなのか。



そんなの、俺にもわからない。





~陸side~ 続く




バタンッ

俺は、勢いよく保健室の扉を開けた。


「あ、陸君だよね?」


保険の先生にそう聞かれた。

「...はい。」


「藤谷さん、大分疲れてるようだから、倒れちゃったみたい。

 まあ、軽い貧血ね。
 睡眠不足だったぽいし、ご飯も食べられてないし...。」



あいつが?

疲労?


俺はありえなかった。


あいつは、何と言っても、あの強情さ。


けど...意外とやることはしっかりやってるんだ。
なんて思ったりもした。
生徒会の仕事は、いつもあれだけ一人でやっていた。




俺は、藤谷の寝ているベットに腰を下ろした。


「頑張りすぎなんだよ...。」

なんて呟いた。






「ん...。」


藤谷が目を覚ました。

「よかった...。」


この声はもちろん、藤谷には聞こえていない。





けど、俺はバカだった。
心にも思っていないことを、言ってしまった。


「ったく、お前のせいで練習できなかったやん。お前、せめて迷惑かけないようにしろよ。」



馬鹿だった。言ってから後悔した。

でも、もう遅かった。



藤谷は、こんなに頑張っているのに。
一人で、自分を隠しながら生きてるのに。


こんなに辛い思いをしているのに。


俺は最低だ。


「出てって。」



藤谷にそう言われた瞬間
俺は何も考えられなかった。


「出てってよ!
 陸が迷惑なように、私だって陸が迷惑なの!
 気分悪いから、もう出てって。」



ごめん。藤谷。
俺は迷惑なんかじゃない。

けど、藤谷にとっては、俺は最低な人間だな。



「...分かったよ」


もう。迷惑はかけないから。
辛い思いもさせないから。


だから、無理するな。


心の中でそう呟いて

俺は保健室から出て行った。


陸side end.






私は、一日、陸を目にすることはなかった。

やっぱり、昨日の事が原因だったのかな。


いや。でもでも !
最近あえてなかったし、今日だけ会えなかったわけでもない。



大丈夫。私は絶対に陸と別れることはないから。
だって、陸だって別れると困るでしょ?



だから、大丈夫だよね。







その、次の日だった。

私が、陸から別れを切り出されたのは。



「藤谷、やっぱり、別れよう。」


え。?


理解できないよ ?


なんで ?



嫌だよ。

何を思っても、陸には伝わらない。