絢の後ろ姿は、私は見なかった。
ううん。見えなかった。
。
私は、絢と陸。
2人のうちどちらかを選べなんて、できない。
両方とることもできない。
そしたら、残りは一つ。
両方、手放すこと。
_これが、私なりの、最悪で最高の決心。
。
毎度のこと。
私たちが別れたことなんて、すぐに次の日には広まった。
これで、いい。
全部、自分で決めてごめんなさい。
けれど、もう私は、あの3人の過去や、幸せを壊しちゃいけない。
私は、それくらいの罰は受けなきゃ。
これで、償うことはできる...はず。
。
「キャー!!///」
放課後、グラウンドの前を通ったら、女子たちの甲高い悲鳴が聞こえた。
もう、分かってる。
それが、陸への声援なことも。
私だって、一番大きな声で、送りたい。
けど、けど...
私には、出来ない。
。
君が、隣にいない時は、これで2度目だね。
今回は、辛いなんて言っちゃいけない。
自分で作った結果だもん。
もう、私は君を好きじゃない。
『元』彼女なんだよ。
今は、何の関係もない。
忘れるんだ。
『陸』なんて、私の周りには、存在しなかった。
。
翌日
「美帆ー!起きなさい!」
「はぁ...い」
眠...。
今日も、学校。
やっと、前の生活に戻れそうな気がした。
。
「会長、好きです!付き合って下さい!」
「ごめんね...私、今は恋愛って気分じゃなくて。」
ほら。普通の、前の生活だ。
これが、私だったんだ。
このころが、本当の私だった。
自分を高値の花のように演じることこそ、『私』だった。
前と違うことと言えば、絢とアイツが付き合ったことぐらい。
。
アイツと絢が付き合おうと、私には関係ない。
だって、君は私と何もつながりがなかったのだから。
君との過去は、ないんだ。
。
数日後
in 裏庭
「俺と、付き合って下さい。」
これで、何回目だろう。
そして、私はまた、あの言葉を繰り返す。
そして、いつも通りの結果になる。
_はずだった。
。