「えっとね、私お姉ちゃんがいたの。」



絢はそう話す。

一瞬疑問に思ったのが、絢が発した言葉が、過去形だったこと。



「姉は、3歳年上だったんだけど、お姉ちゃんには、付き合ってる人がいたの。その彼は、お姉ちゃんより年下で、私と同い年だったの。私と彼が中3の時、私、お姉ちゃんの彼の事が好きだったの。」




そう話したところで、絢の話は途切れた。


そして、道路に雫がおちていく。



それが、絢の目からだというのはすぐに分かった。