高城係長は椅子の背にもたれて胸の前で腕を組み眠り込んでいた。

「きっとお疲れなんだわ。」

私は自分のひざ掛け用のフリースケットをそっと掛けてあげた。

「ん?君か、まだいたのか?」

「係長、お疲れなんでしょう?」

「大丈夫だ、君は?」

「忘れ物を取りに戻ったのです。」と私は携帯を見せた。

「そうか、ふぅ。」係長は前髪をかき上げて目をつぶった。

「遅くなる。早く帰った方がいい。彼氏が待っているんじゃないのか?」

「今日は残業で遅いらしくて。

係長、もしよろしかったらお夕食を食べに行きませんか?

私とで良ければですが。」

「いいのか?君の彼氏はヤキモチ焼きではないだろうな?

そこの所を確認しておかないと。」

「さぁ、どうかしら?私にもわかりません。」

「よし、じゃ行こうか。何が食べたい?」

「割り勘にしてください。」

「わかった。駅前の居酒屋にしよう。」

「はい。」