私は定時に帰った。

係長は今日のプレゼンの見直しをするらしかった。

彼は今日も残業なのね。

「しまった。携帯をデスクに忘れてきたわ。」

もう自宅の方の駅だったけれど反対車線の電車にもう一度飛び乗った。

会社へ向かって駅から走った。

「こんな時間に戻ったら帰るのが遅くなっちゃう。」

エレベーターに乗った。

ハアハアと息が切れた。

フロアはまだ照明がついていた。

「よかった。まだ誰がいるわ。」

そっと自分のブースへ歩いた。

「あった。」私は携帯を持って帰りかけた。

ふと振り返って奥をのぞいた。

「係長?まだいらしたんですか?」

声をかけたけれど返事がなかった。

彼はデスクでうたた寝中だった。