怒鳴られるか、もしかしたらなぐられるかも・・・と思わず目をつぶったとき。


「ふっ」


笑い声がきこえて、思わず顔をあげると、


「琳透、カバン壊すな、だそうだ。まったくもってそのとおりじゃないか」


その人の横から、もう一人の人がこっちをみて、小さく笑っていた。


「・・・あっそ」


私にカバンをぶつけた人は、短くそうはきすてると、すたすたと歩いて行ってしまった。


あ、れ・・・?


これって、もしかしなくても私、


「助かったぁぁー!」


小さく呟き、すわりこんでしまいそうになるのをおさえながら、私は頭をかかえた。


これが、私とあの人の出会いで。


それは、限りなく最悪だった。