「ダメか。ところで、手始めに一番部数の出ているファッション誌に載せることにした。連載だが内容は自由で特に続きものでなくても構わないらしい。つまりショートだ。毎月ショートで区切り、僕の考えとしては何本かまとまったら本にしたい。君が今まで書いて溜め込んだものを初めて放出するんだ。出版する時は誌面に載せなかったものも含める。いいアイデアだろ?僕はまだその先も考えているが今はまだ言いたくない。君は時間のある限りパソコンに向かうことになる。モデルの仕事はすでに減らしているから心配ない。思う存分書ける環境を用意するつもりだ。」

「荒木さん、もし失敗したら?もし誰も読んでくれなかったら?」

「その考えは捨ててくれないか?君の書いたものは必ず売れると信じている。試しに香織に読ませた。何と言ったと思う?」

「香織さんに?恥ずかしい。」

「香織いわく、濃厚すぎて一気に読んでしまったと言っていたよ。そして何度も読み直した。女の気持ちが全て書かれてある。私が思っていることと同じだったと。香織は書いたのが君だと知っているから、まっさらな読者とは違うかもしれないが君を知らない女達が読むんだ。香織よりももっと過激な反応が返ってくることは間違いない。」