美緒は、僕と彼を交互に見比べた。

…僕の拳は赤くなっている。

…彼の唇は切れ、血が滲んでいた。


「社長、怪我してるじゃないですか?」

眠っていた為、何が起きたのか、全然把握できていない美緒。

…当然と言えば当然なのかもしれないが、

美緒が駆け寄ったのは、地べたに座り込む彼、

この会社の社長、多嶋雄一の元だった。



「手当てしなきゃ」

怪我しているところに、ハンカチを押し当てる美緒。

「ツッ・・・大丈夫だ、大したことない」

美緒の手をそっと離し、少しだけ笑った社長。


・・・でも、美緒は心配そうな顔で社長を見つめていた。

・・・が。

すぐに視線はこちらに向いた。

…それも、怒った表情で。


「須藤、アンタがやったの?」

その言葉に頷く。

「なんてこと「いいんだ、悪いのはオレだから」